風情が生まれる

自分が好きな場所は大体、自然を感じられるところです。建物をデザインする際も、極力その景色に馴染むようなものをつくりたいと思っているのは、自然に対して尊敬の念を抱いているからかも知れません。
普段暮らしている場所からも常に山々が見えますが、空模様と一緒に眺める山々は一時として同じ表情はありません。それこそ日々刻々と変わっていきます。しかし、常に変わっているように見えて、ある流れが一定のリズムでまわっています。その流れの捉え方のひとつとして、二十四節気・七十二候と暦があり、私のお気に入りの暦もこの表現を用いています。
温暖化の影響で季節を感じにくくなってきていると巷では言われていますがこのカレンダーをみて身の回りの環境を眺めると、その暦に描いてある情景が広がっているときも少なくありません。風景が変わっていく様を二十四節気・七十二候のような言葉に置き代えることで、風情が生まれると思います。
人工的なところが多くなってくると、そういった季節の流れを感じることが難しくなり、風情が生まれることは少なくなりがちです。以前の状態と何も変わらないことは建物を良好な状態に保つということで考えれば、すごく良いことだとは思います。しかしながら、それは変化がなく、つまらないものだと思ってしまいます。顔も無表情よりも変化に富んだ表情の方が親しみやすいと思います。建物も一緒で時間の変化とともに、色んな表情をみせてくれる方がとても親しみやすくなるのになあと思う日々です。


