食を大事にする住空間で重要な役割を果たすのはパントリーである。

 

一昔前までは、土地も住まいも大きかったため、食事をする場所と調理をする場所がきちんと別れており、それぞれが独立していた。

現代では限られた土地や住まいの大きさから、LDKと呼ばれるようなリビング(居間)・ダイニング(食事)・キッチン(調理)と一体的な空間にすることが多い。

豊かな住空間を「食」に求める人は、調理する際、リビングやダイニングに向かってコミュニケーションできる対面型のオープンキッチンを望む人は多い。

そういった空間のなかで私がいつも気になる存在がひとつだけある。

それが冷蔵庫や電子レンジといった家電製品である。

キッチン本体は住空間に合わせてデザインすることは可能だし、調理器具もデザイン性の良いものは多いが、家電製品に関しては見た目だけではなく機能性・経済性も重視することから、デザインされたオープンな雰囲気にしっくりくるようなものを選ぶのが難しい。

その問題を解決してくれるのが大きめのパントリーである。

食品ストックスペースと一緒に、冷蔵庫や電子レンジなど家電製品を置けるようにパントリースペース大きくすることは都市部に比べ、長野県のような土地柄ではさほど難しくはない。

そのことで家電製品のデザインも気にすることもなくなり、キッチン本体をソファやテーブルといった家具の延長線上でデザインできるようにもなる。

リビング・ダイニング・キッチンと一体となってデザインされた空間は、「食」を大事にする人にとって、とても豊かな空間になると同時に特別な空間になることだろう。

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